あきらめかけた一人の古川中学校3年生が、この夏もう一度立ち上がった話?
「先生…もう無理かもしれない。」
その言葉を聞いたとき、私は胸が締め付けられました。
古川中学校に通う中学3年生のAくん。
目標は古川高校。
しかし、現実は厳しいものでした。
中学1年生の英語はほとんど忘れ、数学も計算ミスばかり。
学校の授業はどんどん先へ進んでいくのに、自分だけが取り残されているような感覚。
実力テストの結果を見るたびに、自信は少しずつ失われていきました。
そして迎えた三者面談。
先生から告げられたのは、
「今のままでは厳しいですね。」
という現実でした。
帰り道。
Aくんはほとんど話をしませんでした。
隣を歩くお母さんも、何を声を掛ければいいのか分からなかったそうです。
家に帰ると、机に向かうこともなく、ただ天井を見つめていました。
「古川高校なんて無理だよ…。」
その一言を聞いたお母さんは、何も言えなかったと後から話してくださいました。
夏休みが始まりました。
Aくんは「受験勉強をしなきゃ」と焦っていました。
でも、本当に必要だったのは難しい問題ではありませんでした。
必要だったのは、
中学1年生に戻る勇気でした。
最初は正負の数。
英語なら be動詞 と 一般動詞。
周りは受験問題を解いているのに、自分だけが基礎からやり直す。
悔しかったと思います。
恥ずかしかったと思います。
それでもAくんは言いました。
「今さらでもやるしかないですよね。」
その一言で、私は「この子は変われる」と感じました。
最初の一週間は思うように進みませんでした。
何度説明しても間違える。
昨日できた問題が今日はできない。
本人もイライラしていました。
「俺、本当に頭悪いんですかね…。」
そんな言葉も何度か聞きました。
でも私は伝えました。
「違う。できないんじゃない。今まで基礎を固める時間がなかっただけだよ。」
二週間が過ぎた頃。
少しずつ変化が見え始めました。
今まで止まっていた数学の問題が、自分の力で最後まで解けるようになりました。
英語も、長文を読む前に文の意味を考えられるようになってきました。
「先生、この問題、解けました。」
その笑顔は、春には見られなかった笑顔でした。
もちろん、まだ古川高校の合格ラインではありません。
模試の判定も決して良くありません。
でも、Aくんはもう下を向いていません。
なぜなら、
「できなかった」が、「できるかもしれない」に変わったからです。
受験で一番怖いのは、成績が低いことではありません。
「どうせ無理だ」とあきらめてしまうことです。
逆に言えば、
「あきらめなければ、人は変われます。」
この夏、Aくんは勉強だけではなく、自分自身と向き合いました。
逃げたくなる日もありました。
思うように結果が出ず、悔し涙を流した日もありました。
それでも翌日にはまた机に向かいました。
その姿を見て、お母さんはこう話してくださいました。
「三者面談の日は、この子の未来が見えなくなった気がしました。でも今は違います。結果はまだ分かりません。でも、この夏、本気で頑張る姿を見ることができただけでも、本当にうれしいんです。」
受験は、点数だけではありません。
努力すること。
壁にぶつかっても立ち上がること。
自分を信じること。
その経験は、高校に進学したあとも、その先の人生でも必ず力になります。
もし今、お子さまが三者面談の結果に落ち込み、「もう無理かもしれない」と感じているのであれば、伝えたいことがあります。
未来は、まだ決まっていません。
今日の一歩が、数か月後には大きな自信へと変わることがあります。
私たちは、そんな瞬間をこれまで何度も見てきました。
だからこそ、今はあきらめる時ではありません。
立ち上がるのは、「今」です。

