登米市に学習塾をつくると決めた日、不安は一つじゃなかった
「登米市に塾を出す。」
そう口にしたとき、多くの人が驚いた顔をしました。
「ほんとに生徒来るの?」
「こんな場所でやっていけるの?」
「そもそも、お前で大丈夫なのか?」
一つひとつの言葉は、心配してくれているのがわかるだけに、なおさら重たく感じられました。
でも、僕はあの日、自分の中に灯った小さな火を信じたかったんです。
それが、希望の始まりでした。
ただの個別指導ではなく、「登米市の子に合う塾」を作りたかった
塾を開く。それ自体はそんなに難しいことじゃありません。
でも、「この町の子どもたちに本当に必要な塾ってなんだろう?」と考えはじめると、話はまるで違ってきます。
登米市の子は、素直で明るい。でも、自分から「もっと勉強したい」と言い出す子は少ない。
じゃあ、まずは環境を変えなきゃいけない。どうしようかな?そうだ!
雑談の中に、クスッと笑える話を混ぜてみよう。とにかく心を開いてもらう。そして「ここならやれるかも」って思ってもらう。
そんな想像ばかりしていました。
出勤中の車の中で、授業での会話を頭の中でシミュレーションしてしていました。
ちゃんと運転しろよ!!あぶないぞ~!!完全に職業病ですね(笑)
「恐怖」との二人三脚
教室の準備をしながら、ふとした瞬間に手が止まることがありました。
「もし、生徒が一人も来なかったらどうしよう」
看板を設置しても誰も見向きしなかったら。
登米市の人たちに受け入れてもらえなかったら。
正直、そんな“恐怖”と、毎日背中合わせでした。
夜中にひとりで机に座って作業しているとき、不意に涙が出そうになることもありました。
でも、そこで思い出すのは、最初に体験に来てくれたあの子の笑顔。
「先生、今日ちょっとだけ楽しかったかも」
その“ちょっとだけ”に、何度も救われました。
生徒・保護者の言葉に、何度も助けられた日々
塾の運営をしていると、どうしても「結果」に目がいきがちです。
成績が上がったか。
志望校に受かったか。
でも、それだけじゃないんだと教えてくれたのは、ある保護者の方の言葉でした。
「うちの子、勉強はまだ苦手だけど、最近“塾行くのが楽しみ”って言うんです。先生、ありがとうございます」
この一言に、泣きました。誰もいない教室で。
あぁ、少しずつだけど、前に進んでるんだな。
不安に押しつぶされそうになったとき、そんな言葉の数々が、僕を何度も立ち直らせてくれました。
作りたかったのは、「通ってよかった」と思える学習塾
僕が目指したのは、こんな塾です。
- めちゃめちゃ勉強してもらう
- めちゃめちゃ成績を上げる
- めちゃめちゃ保護者と情報を共有する
- めちゃめちゃ生徒とはしゃぐ
一見バラバラに見えるかもしれません。でも、全部は「この塾に通ってよかった」と思ってもらうために必要なピースでした。
点数だけを上げる塾じゃない。
ただ楽しいだけの塾でもない。
そのどちらも、まっすぐに追いかけた先にしか「信頼」は生まれないと、僕は信じています。
今、ようやく言える「ここに塾を出してよかった」
開校から数年が経ちました。
保護者や生徒の口コミのおかげで生徒も着実に増えてきました。もちろん、うまくいかなかったこともあります。
生徒の成績が思うように上げられなかった日、はっきりいって眠れませんでした。
指導が届かず、結果につながらなかったとき、ひたすら自分を責めました。
でも、それでも続けてこれたのは、やっぱり生徒の笑顔と保護者の声のおかげです。
「先生、今日はね、学校でうまく発表できたんだ!」
「この前のテストで、初めて平均点超えたよ!」
そんな何気ない報告が、どれだけ僕を支えてくれたか。
最後に、あなたのお子さんにも「誰かに必要とされる場所」を
子どもが成長していくなかで、家庭でも学校でもない「第三の居場所」があることは、想像以上に大きな意味を持ちます。
勉強が得意な子もいれば、苦手な子もいます。
やる気に満ちあふれている子もいれば、今は少し立ち止まっている子もいる。
でも、どんな子にも「ここでなら頑張ってみたい」と思える場所は必要なんです。
それがスポ少でも学校でも習い事でも、もちろん塾であってもいい。
僕はそう思っています。
子どもが自分のことを受け入れてもらい、「先生、今日ね」と話しかけてくれる瞬間。
そこに生まれる信頼と安心感こそが、子どもが次の一歩を踏み出す原動力になります。
点数を上げることは大切です。
志望校に受かることも、大切です。
でもそれ以上に、
「自分には応援してくれる大人がいる」
「信じてくれる人がいる」
そう思えることが、子どもを強くするのだと、私は信じています。
この塾が、あなたのお子さんにとって、そんな場所になれたら。
それ以上に嬉しいことはありません。